↑初めに話しかけてきた強盗2人組
はい、それでは睡眠薬強盗の手口を書いていきます。
フィリピンの南の方(マヨン火山があるあたり)から来たという夫婦と称する2人組に中華街の親善門のすぐ近くで話しかけられた。
おっさんの方は商売をしていてその関係でマニラには数回来たことがあり、おばさんの方は初めて来たと言っていた。もちろん設定だろうけど。
以下のような会話(実際は英語)
強盗 「何人?どこに行くの?」
おいら「日本人です。どこに行くかは特に決めてないっす。」
強盗 「じゃあ、私たちこれから教会に行くんだけど、一緒に行きましょうよ。」
おいら「別にいいっすよ。」
信頼を勝ち得るためだろうけど、こいつらほんとにフィリピンのこと親切にいろいろ教えてくれるのよ。
量り売りのマンゴー買った。これは強盗とは関係なく、食べたくて自分で買ったものだ。
めちゃくちゃ甘い。1キロで約230円とめちゃくちゃ安いし。
メロンジュース。これは強盗がおごってくれた。
いいやつアピールだろうね。この後、手にする金額にしたら安い出費だ。
甘いし、冷たくておいしかった。
これは買ってすぐに飲んだからここに睡眠薬が盛られているということはない。
人がたくさん。この辺がマニラの中心だと言っていた。
ブラックナザレ。
強盗は足に触って十字を切っていた。
お前らは本来キリストに懺悔しないといけないだろ、カスども!
キアポ教会に到着。
↑犯人の顔拡大。
日曜日でミサをやっているらしく、たくさんの人がいた。
入るけど教会の中は撮るなよと強盗に言われた。
キアポ教会の中で待ち合わせていたという旦那側の兄弟の娘という設定の女と合流した。右側の太った女。26才と言っていた。
この女は英語を流ちょうに話した。写真の両サイドが強盗です。
昼ご飯を一緒に食べに行きましょうと言われて、おいらはOKしてしまった。
教会からトライシクルに乗って少し離れたカラオケ付きレストランにやってきた。
事前に義理の娘が歌うのが好きだと吹き込まれていたので別にカラオケに連れてこられたのは驚かなかった。
このときは何かおもしろいことになったなくらいに思っていた。
薄暗い店内。
ここから曲を選んで店員に番号を書いた紙を渡して曲を入れてもらう。カラオケボックスがないころは日本もこういうシステムだったと聞いたことがある。
料理が来た。まずくはないが特別うまくもない。この後、ビールも来た。
ここでなぜか強盗夫婦の友達だというやつら3人が入ってきて加わった。
強盗達は計5人になった。
以下のようなことを聞かれた。
・仕事は何をしているのか?
・どのくらい間、仕事をしているのか?
・日本では1ヵ月どれくらいの給料をもらえるのか。
・クレジットカードは今持っているか?
・パスポートは今持っているか?
・泊まっているホテルの場所はどこか?
今思えばこの時点ですごい怪しいよね。
たぶんここには3、4時間いたと思う。
日本の曲は高橋真梨子の「for You」しかないと言って歌ってくれた。
おいらは知っている英語の曲を3曲ほど歌った。ビールも進められてたくさん飲んだ。
フィリピンでは毎回、飲む時に乾杯(タガログ語でマブワイ)して飲むんだといい、やたらと乾杯させられかなりの量のビールを飲まされた。ビールに睡眠薬を入れられていた可能性が高いが、ここにいる間は意識はしっかりしていた。
カラオケを後にし、フィリピンでいい思い出を作ろうとみんなでクラブに行くことになった。
おいらは普段クラブなんていかないけど酒もかなり入っていてテンション上がっていたので、なんていいやつらなんだと快くOKした!
移動する前にお金を降ろしておけと言われてATMに連れていかれた。
本当に持ち金がなかったおいらはキャッシングして1000ペソ(2000円ほど)降ろした。
そして、タクシーに乗って移動している途中で写真の酒を買ってくれて、それを数口飲んだ後、記憶がなくなった。
気が付いたのは一人でタクシーに乗っていて、ドライバーからホテルの近くだぞと起こされた時だった。
時間は24時近くだった。この時点では携帯もクレジットカードもあるし、財布の中のお金もあったので強盗に遭ったとは思っていなかった。というか意識が朦朧としていて何も考えられなかった。ホテルに戻るなり、すぐにベッドで横になった。
翌日になっても大量の睡眠薬を摂取させられたためか、11時過ぎにホテルのフロントからの電話がかかってくるまで寝続けていた。なぜ電話がかかってきたかというとチェックインするときに帰りのフライトの時間を伝えていたからだ。
パスポートはホテルに置いていたので盗まれずに済み、ひとまず無事に日本に帰ることができた。
正直、自宅に戻るまでの記憶がほとんどない。帰巣本能で日本に帰ってきたという感じ。
後日談
帰国の翌日から仕事だったので、もしかしたら強盗にあったのかもしれないけど、無くなっていたものは携帯の充電器と帽子だけだったので、強盗に遭っていたとしても大した被害じゃなくてよかったなと思って数日、過ごしていた。
時間があるときにネットでフィリピンの睡眠薬強盗を調べてみると同じような被害に遭った人の記事を見つけた。そこにはクレジットカードでお金を20万降ろされていたと書かれていた。
それを読んだ後も、おいらの場合は暗証番号を教えていないし、お金を降ろされるはずないよなと思ったんだけど一応クレジットの利用明細をネットで見ておくかと、確認したところ。。。; ̄ロ ̄)!!
ファッ!? なんと覚えのない、合計8回に分けて14万円降ろされている履歴があった!!
その後、すぐにクレジット会社に連絡して、カードを停止してもらった。
暗証番号を使われての被害は保証の対象外だからお金は戻らないと言われた。
今回なぜこんなしょうもない犯罪に遭ってしまったのかを考えてみると、おいらは十数ヶ国渡航したことがあって、今まで一度も危険な目に遭ったことがなかったし、自分は旅慣れているというおごりがあったこと。
フィリピンに行くことを2週間前に決めて、マニラは治安が悪いとは知っていたけど、まったく情報収集していなかったことなんかがあると思う。
当たり前のことだけど、知らない人に付いていかないこと、知らない人から進められた食べ物、飲み物は口にしないことは必ず守らないといけないんだなと身に染みた。
長くなったけど、こんなところだ。
今となっては、逆に命があってよかったと思っている。そして高い授業料になったけど、この経験が今後の人生の糧になると信じている。
フィリピンは経済成長が著しいとはいえ、平均月収は4万程度だ。1日で数か月分のお金を手にできるこの手の犯罪はなくならないだろう。同じ被害に遭う人がいないことを切に願う。